すっかりさぼってしまい年の瀬です。
私の勤務する老人ホームで、とある介護職員から、元旦の朝食に「味噌汁」を提供するのはいかがなものか?という意見が寄せられた。
当ホームでは開設以来、季節感やハレの日を感じていただくために、大みそかの昼食には「年越しそば」。元旦の、昼食または夕食に「おせち料理盛り合わせ」や「お雑煮」を提供してきた。もちろん嚥下や摂食に困難があるご入居者も多くみえるので、厨房業者とも打ち合わせ、できる限りの注意と食物形態に工夫をしてきた。ここ数年は「お雑煮」に「餅」ではなく「米粉」などを使用した「団子状の餅もどき」を使用し事故なく提供している。
しかし、元旦の朝食については、通常のパン食又は米飯を提供してきた。開設当初は「お雑煮」は朝食で召し上がっていただきたいという意見もあったが、看護師の人数など職員体制の問題等を踏まえ昼食、夕食に提供してきたという歴史がある。
来年の1月1日朝食もメニュー表には「ごはん、味噌汁、おかず盛り合わせ、梅干し、牛乳」とある。
そこで文頭の意見がでてきた。「愛知県では元旦、三が日には味噌汁を食べないという習慣がある。ご入居者のほとんどは愛知県内の方なのでその習慣を守るべきではないか。」ということであった。私は東京大田区蒲田の生まれで横浜育ち、19歳の時に名古屋に来て40年余。そのような習慣は聞いたことがなかった。
でも、ひょっとすると根拠があるかもと調べだすとネットで論文を見つけた。
「日本調理科学会誌」VOL49.(2016)
「愛知県の尾張及び三河地域の雑煮の特徴とその要因」
名古屋女子大学家政学部の間宮喜代子先生他4名の先生の共著である。以下、引用させていただくと、「雑煮の味付けの歴史的背景を見ると、宮廷文化の伝統が残る関西では味噌仕立てが多く、武家の支配が長かった東日本では『味噌をつける』といって味噌仕立てを嫌い、かつおだしのすまし汁が多かった」「かつて尾張地域豊山町豊場では、正月の禁忌として松の内は味噌汁をつくらなかった。これは雑煮の味噌仕立てを嫌う武家社会の影響を受けたものと推察される」とある。(P62)前半は農水省(2010/12/24)特集2食材丸かじりから引用され、後半は愛知県史編纂委員会編集(2008)「愛知県史別編民俗2尾張」から引用されていた。
以上のエビデンスから1月1日朝食の味噌汁を厨房業者にお願いして「すまし汁」に変更してもらった。還暦を過ぎても知らないことはまだまだあるなあと思った次第。
写真は数年前の「おせち料理」
グラード栄東「内覧会」開催
久しぶりにグラード栄東において「内覧会」を開催いたしました。
当日は居宅の介護支援専門員さんを中心に約50名の皆様にお越しいただきました。
今回、施設見学はもちろん委託厨房業者の㈱ミツオさんにご協力いただき「普通食」「ムース食」「ゼリー食」の「食べ比べ」を体験していただきました。
居宅のケアマネさんは「嚥下食」について召し上がったことがない方が多く大好評でした。
また、同時に医療法人士正会ルーツストーンデンタルクリニックの近藤先生にもお越しいただき、嚥下や歯科の相談にも対応させていただきこちらも大好評でした。また、このような機会を企画し、「グラードの質」をお伝えしていきたいと思います。
二日目には私が14年前東京福祉大学名古屋キャンパスで非常勤講師をしていたときの「教え子」である稲垣さんが内覧会に顔を出してくれました。
稲垣さんは現在、株式会社リハピネスの代表取締役で複数のデイサービスやショートステイ施設などを立ち上げ、注目されている若手介護事業経営者です。
14年前に「福祉・介護サービス」を語った当時の学生さんが介護現場を経験した後、事業を立ち上げ経営し活躍されていることをとても嬉しく思います。
そしていまだに「先生」と呼んでくれることにちょっと照れてしまいます。
お忙しいところ「差し入れ」までいただき本当にありがとうございました。